SNSやマッチングアプリを通じた出会いが日常的になった一方で、
「やり取りを続けていた相手から急に投資を勧められた」
「会ったことがないのに将来や結婚を語ってくる」など、
不安を感じる相談が増えています。
怖さや戸惑いがあっても大丈夫です。
まずは落ち着いて、状況を整理することから始めていきましょう。
ロマンス詐欺は、丁寧で優しい言葉から始まります。ですが、会っていない相手とのお金のやり取りは注意が必要です。連絡を控え、証拠を残し、早めに相談窓口へ連絡することで、被害を止められる可能性があります。
この記事では、SNS型ロマンス詐欺の特徴や、実際に使われるメッセージ例、危険に気づいたときの対処法を、落ち着いて行動できるようにわかりやすく整理しています。
読んでいただくだけで、自分や身近な人を守るための判断材料が増えるはずです。
- SNS型ロマンス詐欺の特徴と流れ
- 実際に使われる典型的なメッセージ例
- 危険に気づいたときの対処法と相談先
不安な気持ちのまま一人で抱え込まなくても大丈夫です。
あなたの安全を守るために、できることから順番に進めていきましょう。
SNS型ロマンス詐欺とは|定義と最新動向
最近、「SNSで知り合った相手から投資を勧められた」「会ったことがないのに将来の話をされる」といった相談が増えています。
怖く感じた方もいると思いますが、まずは落ち着いて全体像を知ることが大切です。
SNS型ロマンス詐欺は、恋愛感情や親近感を利用して、お金をだまし取ろうとする手口のひとつです。
この詐欺は、SNSやマッチングアプリをきっかけに接触し、短期間で関係を深めながら信頼させ、投資や送金へ誘導する特徴があります。
従来の「メール型」や「出会い系サイト型」と比べ、実在の人物に見えるアカウントを作りやすい環境がそろっており、被害は増加傾向にあります。
ロマンス詐欺の基本定義と従来型との違い
ロマンス詐欺とは、オンライン上で恋愛感情を抱かせ、信頼を得たあとに金銭を要求する詐欺全般を指します。
SNS型ロマンス詐欺では、プロフィール写真・職業・家族構成などを巧妙に偽り、短い期間で「特別な関係」を演出します。
SNS型は非対面のやり取りが中心のため、関係が急に深まることが多く、警戒が追いつかないまま信頼してしまうケースが見られます。
- 短期間で親密な呼び方に変わる(例:「ハニー」「ベイビー」など)
- 他のアプリ(LINEなど)にすぐ移行したがる
- 会う話をすると理由をつけて避ける
SNS型ロマンス詐欺が増える背景(AI・偽装技術・SNS普及)
被害が増えている背景には、近年の技術進化があります。
AI生成画像・翻訳アプリ・簡単に作成できるSNSアカウントにより、誰でも他人になりすませる時代になりました。
特に、海外在住を名乗るケースでは「時差で返信が遅れる」「カメラが壊れている」などの理由で姿を見せず、本物らしく装う手口が一般的です。
こうした環境が整ったことで、若い世代から中高年まで幅広い層が被害に巻き込まれています。
どれだけ自然なメッセージでも、写真や音声・動画が本物とは限りません。
被害統計と年代別・男女別の傾向(警察庁最新データ)
警察庁の公表データでは、ロマンス詐欺の被害者は40〜60代の男女が特に多い傾向があります。
特に、SNSやマッチングアプリを通じた出会いがきっかけとなるケースが増えています。
また、連絡手段としては「SNS→メッセージアプリ(LINE等)」へ移行し、その後に投資サイトや暗号資産アプリへ誘導される流れが一般的です。
こうしたプロセスは、被害を受けた方の多くに共通しています。
不安を感じたときは、無理にやり取りを続ける必要はありません。
連絡を控え、証拠を残しながら、安全のために相談窓口(警察・消費生活センターなど)に早めに相談することが大切です。
ロマンス詐欺の典型的な流れ(親密化→依存→送金)
ロマンス詐欺は、いきなりお金の話から始まるわけではありません。
ほとんどの場合、段階的に信頼を積み重ねていくことで「この人なら大丈夫」と思わせる流れがつくられます。
怖かった方もいると思いますが、まずは落ち着いて、この流れを知っておくことが自分を守る第一歩です。
以下の5つのステップのうち、どこかで違和感を覚えたら、やり取りを控えて様子を見ることが大切です。
STEP1|SNS・マッチングアプリでの接触
最初の入り口は、SNSやマッチングアプリでの突然の「いいね」やフォロー、丁寧なメッセージが多く見られます。
プロフィール写真が極端に整っている、生活感が薄い、職業が「投資家」「医療関係」「海外駐在」など信頼されやすいものに偏っているケースもあります。
とくに「急に距離が近い」「会話がやたら丁寧すぎる」などの違和感は、早い段階からのサインになることがあります。
- プロフィール写真の統一感がない・加工の可能性
- 投稿歴が少なく、フォロワー数・内容が不自然
- 会話のテンプレート感(自己紹介が長文で整いすぎている)
STEP2|メッセージ移行と頻繁なやり取り(親密化フェーズ)
接触後すぐに、「こっちのほうが話しやすい」と言って別のアプリ(LINE、WhatsAppなど)に誘導されるケースが一般的です。
そこから毎日のように長文や写真が送られてきて、短期間で「特別感」を演出します。
この段階では、相手はあなたの生活パターンや性格を丁寧に聞き出し、心理的な距離を詰めていきます。返信が早く、共感が多く、ほめ言葉が続くのも特徴です。
STEP3|将来の話・結婚・パートナー設定で信頼形成
次に現れるのが「将来の話」です。
まだ会っていないのに、結婚・同棲・旅行の提案など、人生計画に触れるコメントが増えていきます。
甘い言葉を使い、短期間で深い関係を演出することで、相手にとって「特別な存在」と思いこませるのが特徴です。
会っていないのに未来を語るのは、警戒すべきサインの一つとされています。
STEP4|投資・副業への誘導(暗号資産・FX・海外サイト)
関係が深まったように見えるタイミングで「あなたにも成功してほしい」「二人の将来のため」などの言葉を用いながら、投資や副業の話が出てくることが多いです。
多くの場合、暗号資産やFXの海外サイト、アプリへの登録を勧められます。
中には、収益が上がっているように見せる偽アプリや偽サイトも確認されています。
STEP5|出金できない→追加送金要求の無限ループ
最初の入金後、いざ出金しようとすると「税金が必要」「保証金が必要」「アカウントの凍結を解除するには追加資金が必要」など、さまざまな理由で送金を求められるようになります。
この“追加送金のループ”が、ロマンス詐欺の最終段階であり、最も高額な被害につながりやすい部分です。
相手は優しい口調のまま、危機感や罪悪感を刺激し、送金を続けさせようとします。
出金できない理由が次々と提示されるのは典型的なサインです。どれだけ親しく感じていても、一度立ち止まって状況を確認してください。
もし少しでも不安を覚えたら、無理に対応を続ける必要はありません。
返信を控え、証拠を残し、安全のために早めに相談窓口へ連絡することが大切です。
実際の被害事例|どんなメッセージで誘導されるのか
ロマンス詐欺の多くは、丁寧で優しいメッセージから始まります。
会ったことがなくても、やり取りが続くと相手を信じてしまうことは珍しくありません。
怖かった方もいると思いますが、まずは「どんな流れで誘導されるのか」を知っておくと冷静に判断しやすくなります。
ここでは、警察庁や国民生活センターが公表した事例を参考に、「どんなメッセージが届き、どう誘導されるのか」をわかりやすく再構成しています。
40代女性|結婚を匂わせ「立て替え金」を要求されたケース
SNSで知り合った男性から毎日のように連絡が届き、やり取りを続ける中で「将来は一緒に暮らしたい」「あなたを一生大切にする」などの言葉が増えていきました。
女性は不安よりも期待が大きくなり、次第に心を許していったといいます。
体験談(再構成):40代 女性
「仕事で必要な費用を一時的に立て替えてほしい。払わないと契約違反でトラブルになる」
このように緊急性の演出が行われると、相手を助けたい気持ちが先に立ってしまい、冷静な判断が難しくなることがあります。結果的に複数回送金してしまったという被害が報告されています。
40代男性|暗号資産の短期取引を持ちかけられたケース
オンラインで知り合った女性から「最近は投資で成功している」と相談めいたメッセージが届き、短期間で仲良くなったという男性。
会話の中で頻繁に「将来のため」「あなたにも幸せになってほしい」などの言葉が使われていました。
体験談(再構成):40代 男性
「一緒にやればもっと早く自由になれるよ。利益の出る方法を教えるから」
紹介された投資サイトでは、最初の少額投資が「利益が出ているように見える」仕組みになっており、男性は信用して入金額を増やしたといいます。
しかし、後から分かったのは偽装されたシステムで、実際には出金できない状態だったということです。
「利益が出ているように見える画面」や「安心させる言葉」は、投資型ロマンス詐欺でよく使われます。
50代男性|副業・ショップ運営を持ちかけられたケース
マッチングアプリで知り合った女性と親しくなった男性。
「一緒に何かできたらいいね」と話していたところ、女性のほうから「ネットショップを運営すれば安定して稼げる」と提案してきたといいます。
体験談(再構成):50代 男性
「費用はほとんどかからないよ。あなたなら成功できる」
しかし実際には、商品の仕入れ費・保証金といった名目で高額な費用を求められ、途中で「おかしい」と思っても、すでに支払った金額を取り戻せない不安から断れなくなってしまったといいます。
不安を感じたときは、やり取りを続ける前に一度立ち止まって確認することが大切です。
相手に申し訳ないと感じても、自分の生活と安全が最優先です。
怪しいサイン一覧|1つでも当てはまれば即警戒
ロマンス詐欺は、最初から「お金をください」とは言ってきません。
多くの場合、恋愛や信頼関係を土台にしてから、少しずつお金や投資の話が出てきます。
「なんだか変だな」と感じたときに、冷静に立ち止まれるよう、よく見られるサインをまとめました。
以下のサインは、ロマンス詐欺の手口でよく報告されている特徴です。1つでも当てはまったら、警戒して距離を取ることをおすすめします。
実際に会っていないのに将来や結婚を話す
まだ一度も会ったことがない相手から、「結婚したい」「将来は一緒に住みたい」「あなたが運命の人だと思う」など、将来を前提にしたメッセージが続く場合は注意が必要です。
距離が縮まるのはうれしいことですが、一般的には、実際に会う前から人生設計を具体的に語ることは多くありません。
- 出会って数日〜数週間で「結婚したい」「家族に紹介したい」と言われる
- 会う話をすると「仕事が忙しい」「海外だから難しい」と話をそらされる
- 呼び方が急に「妻・夫」「ハニー」「運命の人」などに変わる
「投資」「資産形成」「副業」を勧めてくる
恋愛の話が続いたあとで、「実は投資で成功している」「二人の将来のために資産形成しよう」などと、投資や副業の話が出てくるのは、ロマンス詐欺で非常によく見られる流れです。
暗号資産やFX、海外の投資サイトなどを勧められるケースも報告されています。
恋愛の話から投資の話題に切り替わるタイミングは、特に注意したいポイントです。
相手は「あなたのため」「二人の未来のため」と言いながら、具体的な投資額や入金方法を提案してくることがあります。
「旅費・荷物の手数料・保証金」を理由に送金を要求
ロマンス詐欺では、お金の名目が少しずつ変わっていくことが多いです。
最初は「会いに行くための旅費」、次に「荷物を送るための手数料」、さらに「口座凍結を解除するための保証金」など、さまざまな理由で送金を求めてくるケースが報告されています。
どの名目であっても、「送ってくれたらすぐ返す」「一度払えば全額戻る」といった説明がセットになっていることが多く、断りづらい雰囲気をつくるのも特徴です。
旅費・手数料・保証金など、理由は違っても「前もってお金を送らせる」という構造は同じです。一度でも送金を求められたら、慎重に考える必要があります。
写真・音声・動画が本物とは限らない(AI偽装のリスク)
最近は、AIで生成された画像や動画、翻訳ツールを使った自然なメッセージなど、見た目だけでは本物かどうか判断しにくいケースが増えています。
相手の顔写真や動画が送られてきても、それだけで「実在の人物」とは言い切れません。
また、相手が同じ写真を別のSNSでも使い回している、検索すると同じ画像が他人のプロフィールに使われている、といったケースも報告されています。
こうした状況は、なりすましや偽アカウントの可能性も考えられます。
もし、ここまでのサインのいずれかに当てはまって不安を感じた場合は、ひとりで抱え込まず、連絡をいったん止めてから、相談窓口や身近な人に状況を話してみることをおすすめします。
今からでも被害を止めることはできます。
被害に遭ったらやるべきこと|取るべき行動と相談先
「もしかして詐欺かもしれない」と感じたときは、とても不安になりますよね。
ですが、焦らなくて大丈夫です。
ここでは、被害を最小限に抑えるために、まず何をすべきかを整理しました。
今からできる行動だけをまとめています。
大切なのは、すぐに送金を止め、証拠を残し、早めに相談すること。たったこれだけで、被害の拡大を止められる場合があります。
まずは送金を止め、証拠を保存(メッセージ・送金記録)
不安を感じたら、最初にやるべきことは「送金を止める」ことです。
相手からどれだけ強く促されても、一度立ち止まって大丈夫です。
同時に、これまでのやり取りを可能な限り残しておきましょう。
相談機関が動くためには、事実を示す情報がとても重要になります。
- チャット・メッセージ(スクリーンショットも可)
- 送金記録・振込履歴
- 相手のプロフィール・URL・アカウント名
- 投資サイトやアプリの画面キャプチャ
警察・自治体の相談窓口(#9110/消費生活センター)
被害の可能性があるときは、早めに公的な相談窓口へ連絡することをおすすめします。
迷っている段階でも相談できますし、「これって詐欺なの?」という確認だけでも大丈夫です。
また、お金のトラブル全般については、消費生活センター(188番「いやや!」でつながる窓口)でも相談できます。
匿名で相談できる場合もありますので、状況を整理する手がかりになります。
返金は極めて困難|「回収を手伝う詐欺」にも注意
残念ながら、ロマンス詐欺で送金してしまったお金が、そのまま返ってくる可能性は高くありません。
これを悪用し、「返金を手伝う」「お金を取り返せる」と持ちかける新たな詐欺も確認されています。
特に、「手数料を払えば返金できる」「弁護士を紹介するから先に費用を振り込んで」といった誘いには注意が必要です。
焦っている状況につけ込み、さらに被害が広がるケースが報告されています。
“返金を手伝う”という連絡が来たら、それ自体が詐欺の可能性があります。絶対に追加でお金を支払わないでください。
今できることは、焦らず、証拠を確保し、安全な相談窓口に早めに連絡することです。一人で抱え込まず、状況を話すだけでも整理が進みます。
だまされないための予防策|今日からできる対策
ロマンス詐欺は、誰にでも起きうる被害です。
特別に「だまされやすい人」が狙われているわけではなく、生活の中でふと寂しさや悩みを抱えたタイミングにつけ込まれるケースが多くあります。
だからこそ、日頃からできる対策を知っておくことが自分を守る力につながります。
今日からできる「小さな習慣」が、被害を未然に防ぐ大きな一歩になります。
SNS・マッチングアプリでの安全なコミュニケーション習慣
SNSやマッチングアプリでの出会い自体は珍しいものではありません。
ただし、信頼できる相手かどうか判断するには慎重な姿勢が必要です。
特に、プロフィールや写真だけで相手を信用してしまうと、相手が本物かどうかの確認が難しくなります。
- プロフィール写真を検索して、別人の画像が出ないか確認する
- 会う前から個人情報(住所・職場・家族構成)を伝えない
- 別アプリ(LINEなど)へ即移行したがる相手には慎重になる
- 相手の言う「職業・肩書・経歴」が整いすぎていないか確認する
投資・送金に関する「三原則」
ロマンス詐欺では、最終的に「お金の話」が出てきます。
その瞬間に冷静さを取り戻せるよう、シンプルな判断基準を決めておくことをおすすめします。
- ① 会ったことのない相手には1円も送らない
- ② 投資の提案は一度持ち帰って誰かに相談する
- ③ 「絶対もうかる」「リスクゼロ」は信じない
この三原則を守るだけで、衝動的な判断を避けることができます。
怪しいと思った時にすぐ使えるチェックリスト
「なんとなく気になる」「少し不安」という段階で確認できる、簡単なチェックリストです。
迷ったときのブレーキとして活用してください。
- 会っていないのに、将来・結婚・資産形成を語られる
- 投資・副業・暗号資産の話が急に出てきた
- 旅費・手数料・保証金などの名目でお金を求められた
- オンライン上でしか姿を見せない(ビデオ通話を避ける)
- 写真・動画・音声が本物か確信が持てない
- やり取りが不自然に丁寧、または急に距離が近い
このチェックのうち1つでも当てはまったら、やり取りを続ける前に立ち止まりましょう。
おかしいなと思った時点で、連絡を控え、証拠を残し、安全のために相談窓口に早めに相談することで、被害の拡大を防げることがあります。
焦らなくて大丈夫です。あなたのペースで確認していきましょう。

