マルチ勧誘は、SNSや友人関係をきっかけに、若者の身近へ入り込んでくることがあります。
突然の儲け話や、親しげな誘いを受けて不安になった方も多いのではないでしょうか。
焦らなくて大丈夫です。
本記事では、若者が巻き込まれやすいマルチ勧誘の実態から、断り方、相談先、対処法までを落ち着いて整理していきます。
うますぎる儲け話には必ず理由があります。
断り方を知り、早めに相談窓口へつながることで被害は防ぎやすくなります。
もし今、不安なLINEやDMが届いているなら、このページで紹介する方法がきっと役に立ちます。
- 若者が狙われやすいマルチ勧誘の理由と最新の傾向
- 危険なネットワークビジネスや誘いを見抜く判断基準
- 実際に使える断り方テンプレと相談先
あなた自身や大切な人を守るために、今できる行動を一緒に整理していきましょう。
若者・大学生がマルチ勧誘に狙われる理由と最新動向
最近、SNSやマッチングアプリ、そして友人や先輩からの誘いをきっかけにマルチ勧誘へ巻き込まれる若者が増えています。
突然の誘いでも「知り合いだから大丈夫」と思いやすく、警戒心が下がることが背景にあります。
さらに、国民生活センターなどの統計では20代の相談件数がここ数年増えており、若者を狙う動きが広がっています。
自分には関係ないと思っていても、日常の延長で巻き込まれる可能性があります。
ここでは、なぜ若者が狙われやすいのか、その理由と背景を整理していきます。
若者を取り巻く環境(SNS・マッチングアプリ・友人経由の勧誘)
今の若い世代は、SNSやアプリを通じて人とつながる機会が多く、勧誘者にとって接触しやすい環境にあります。
たとえば、マッチングアプリで知り合った人から急に「儲かる話がある」と誘われたり、Instagramで交流していた相手から投資の話が持ちかけられるケースも見られます。
また、久しぶりに連絡してきた先輩や同級生からの誘いは信頼しやすく、警戒しづらいことも特徴です。
20代の相談件数が4割を超える背景(国民生活センターデータ)
国民生活センターの公開データでは、マルチ商法に関する相談のうち20代が占める割合が4割前後で推移しています[出典]。
これは、若者が勧誘対象として狙われやすいことに加え、SNSなどインターネット経由の接触が増えていることが一因と考えられます。
社会経験が浅い時期は判断材料が少なく、強い言葉や成功例を聞かされると信じやすくなる傾向があります。
マルチが「居場所」になってしまう心理構造
若者の中には、将来への不安や孤独感から「認めてほしい」という気持ちが強くなる時期があります。
マルチ勧誘者は、そうした心理をつかむように優しく声をかけ、仲間意識を演出するケースが見られます。
励まし合う雰囲気が心地よく、まるでコミュニティのような感覚を与えられることで抜けにくくなることがあります。
悪意を感じにくい誘いほど、実は注意が必要な場合もあります。
焦らなくて大丈夫ですので、自分の状況が当てはまると感じたら、次のステップで落ち着いて確認していきましょう。
マルチ商法・ネットワークビジネス・ねずみ講の違い
この三つの言葉は似ているようで仕組みや法律上の扱いが異なり、危険性の度合いも変わります。
まずは、それぞれの特徴を落ち着いて整理していきましょう。
違いを理解すると、トラブルに巻き込まれにくくなります。
マルチ商法(連鎖販売取引)とは
マルチ商法は、商品やサービスの販売と、他の人を勧誘して販売組織を広げることで利益を得る仕組みです。
特定商取引法では「連鎖販売取引」として規制されており、契約内容の明示や誇大な説明の禁止など、細かなルールが定められています[出典]。
法律上は、適切に運営されていれば直ちに違法と判断されるものではありません。
ただし、若者の相談例では、儲けを強調したり、借金を勧めたりといった問題のある勧誘が多く報告されています。
「誰でも簡単に稼げる」といった説明には注意が必要です。
ネットワークビジネスと何が違うの?
ネットワークビジネス(MLM)という言葉は、一般的には合法的な会員制販売方式を指すことが多いです。
一方で、同じ形態でも説明内容が不十分だったり、収益構造が不透明だったりすると、実質的にマルチ商法と同じリスクを抱える場合があります。
判断で迷うときは、商材の実体があるか、販売よりも勧誘が重視されていないかなど、いくつかの視点で確認することが大切です。
ねずみ講(無限連鎖講)が違法とされる理由
ねずみ講は、お金を支払って加入し、その後に新しい加入者を紹介することで配当を得る仕組みです。
商品やサービスの提供が実質なく、配当の原資が新規加入者のお金だけで成り立つため、必ずどこかで破綻します。
この構造により、多くの人が損失を受けるため、法律で開設・勧誘・運営のすべてが禁止されています。
「必ず儲かる配当型」の誘いは、ねずみ講に似た仕組みの可能性があります。
危険を感じたときは、ひとりで判断せず、早めに相談先へ連絡することをおすすめします。
若者が遭いやすいマルチ勧誘の典型的手口
マルチ勧誘は、最初はとても自然な流れで接触してくるため、気づいたときには断りづらい状況に巻き込まれているケースが多くあります。
ここでは、実際の相談事例でもよく見られる典型的な手口を整理しながら、どこに注意すべきかを明らかにしていきます。
少しでも不安を感じたら、その場で決めずに距離を置くことが大切です。
SNS・マッチングアプリによる儲け話への誘導
SNSやマッチングアプリで仲良くなった相手から、急に「副業がある」「投資で稼げる」という話が出てくるケースが増えています。
特にFXやバイナリーオプション、仮想通貨など、専門知識が必要なテーマを持ち出されると、「自分は知らないだけで本当に儲かるのかもしれない」と思いやすくなります。
初対面にもかかわらず、やけに親身になって説明してくる場合は注意が必要です。
怖かったり不安に感じたりしたら、その相手とのやりとりを一旦中断しても大丈夫です。
友人・先輩を使った信頼の悪用手口
高校や大学の先輩、バイト仲間、久しぶりの友人など、身近な関係からの誘いは警戒しにくいものです。
「あなたなら成功できると思った」「一緒に頑張りたい」など、信頼関係を利用する言葉をかけられることで断りづらくなります。
結果として、借金をして商品や情報商材を購入させられたり、友人関係が壊れてしまう相談も報告されています。
どれだけ親しい相手でも、お金や勧誘が絡む話は慎重に距離を保つことが必要です。
言いづらいと感じても、断る権利はあなたにありますので安心してください。
後出しマルチ(契約後に勧誘システムを開示される)
最初は商品やセミナーの紹介だけをされ、「収入」「紹介」の話は一切出ないまま契約を結ばされるケースがあります。
しかし契約後になって「実は人を紹介すると収入が得られる仕組みがある」と説明され、やめづらくなる相談が増えています。
このような後出し説明は、トラブルのきっかけになりやすく、返金や解約の相談につながる典型例です。
不安が強いときは、ひとりで抱えずに早めに相談窓口に連絡することで被害を抑えやすくなります。
契約してしまったときの対処法(クーリング・オフ/中途解約/取消)
すでに契約してしまった場合でも、取れる手段はいくつかあります。
焦らなくて大丈夫です。
ここでは、被害を最小限に抑えるために、今すぐ確認すべきポイントをまとめます。
連絡を止める・証拠を残す・期限を確認するの三つが最初の行動です。
クーリング・オフが使える条件と具体的手順
マルチ商法(連鎖販売取引)の契約では、契約書面を受け取った日から20日以内であれば、理由を問わず無条件で解除できます。
期限内であれば、借金をして支払ってしまった場合でも適用が可能とされています。
手続きは難しくありません。
- 書面または電子記録で「クーリングオフを行います」と伝える
- 契約日・氏名・住所・契約相手の名称を記載する
- 送付履歴が残る方法(書留郵便など)で送る
- 相手からの連絡は一旦すべて記録しておく
口頭だけでの取消連絡は、証拠が残らないため避けるのが安心です。
書面を出した時点で効力が生じるとされていますので、期限内に投函できれば間に合います。
中途解約の仕組みと注意点
クーリングオフ期間を過ぎてしまった場合でも、連鎖販売取引には「中途解約」という制度があり、将来に向けて契約を終了できるケースがあります。
ただし、商品やサービスの種類によって返金の範囲や違約金の上限が異なります。
契約書に必ず条件が記載されているため、最初に書面を確認することが重要です。
まだ未使用の商品がある場合は、返金対象となる可能性が高まります。
高額な違約金を提示された場合でも、妥当性を判断するには専門機関への相談が有効です。
契約の取消し(虚偽説明・不実告知)を使うケース
勧誘時に「必ず儲かる」「借金してもすぐに回収できる」など、事実と異なる説明があった場合、消費者契約法に基づき契約を取り消せる場合があります。
また、重要な不利益を故意に隠された場合も、取消しの対象となり得ます。
証拠が残っていれば、相談窓口が状況を整理しやすくなり、適切な助言が受けられます。
若者がマルチ勧誘を断るための具体的な言い回しテンプレ
マルチ勧誘を受けたとき、多くの大学生や若い社会人が「断りづらい」「関係を壊したくない」と感じています。
ここでは、実際に使える断り文句をまとめました。
あなたの安全を守るための「言い換えの道具」として活用してください。
断ることは悪いことではありません。
友人・先輩から誘われたときの断り方
身近な人から誘われた場合、強く拒否しづらいと感じるのは自然なことです。
そんなときは、相手を否定せずに自分の事情を理由にする言い方が効果的です。
- 今はお金の余裕がないから、そういう話は受けられないんだ。
- 将来のためにリスクのあることは控えるって決めてるんだ。
- 家族と相談したら反対されたから、今回は参加できないよ。
- 勧めてくれた気持ちはありがたいけど、自分には向いていないと思う。
このような言い回しは、相手の顔を立てつつ距離を置く効果があります。
相手がどれだけ親しくても、お金や勧誘が絡む話には慎重でいて大丈夫です。
SNS・LINE勧誘の断り方
SNSやLINEでの勧誘は、短い文章で返せるテンプレがあると対応しやすくなります。
返信を迷う時間を減らすことで、心理的な負担も軽くなります。
- 今はそういうのはやらない方針なんだ。ごめんね。
- 興味がないから今回は遠慮するよ。
- お金の話は全部断っているんだ。誘ってくれてありがとう。
- 判断できるほど詳しくないので参加はできません。
相手に説明責任を感じる必要はありません。
シンプルなメッセージで十分伝わります。
しつこく誘われる場合の最後の手段
何度断っても勧誘される場合は、あなたの意思より相手の利益が優先されている可能性があります。
そのような場合は、関係を断つ覚悟が必要になることもあります。
相手がしつこいほど、早めに離れることがあなたの安全につながります。
- 何度も伝えたけれど参加する意思はありません。
- これ以上のお誘いには返事ができません。
- 今後この話題で連絡をするのは控えてください。
- これ以上続く場合はブロックします。
必要であれば、ブロックも選択肢に入れて大丈夫です。
あなたの時間と人間関係は、守る価値のある大切なものです。
被害を受けたときの相談先(地域別一覧)
マルチ勧誘の被害に気づいたときは、ひとりで抱え込まず、早めに相談することが安全につながります。
ここでは、状況に応じて頼れる主な窓口をまとめました。
迷ったら、まずは相談できる場所につながることを優先してください。
消費生活センター(188)
マルチ勧誘に関する相談は、全国共通ダイヤル188(いやや)で最寄りの消費生活センターにつながります。
専門の相談員が、状況の整理や今取るべき行動について助言してくれます。
契約の有無にかかわらず利用でき、クーリングオフや中途解約の手続きについての案内も受けられます。
つながりにくい場合は、時間帯を変えてかけ直すと相談できることがあります。
自治体相談窓口(関係地域リンク)
自治体ごとに設置されている消費生活センターや相談窓口でも、マルチ勧誘に関する相談を受け付けています。
地域によって、対応できる内容や相談できる時間帯が異なるため、お住まいの自治体の窓口情報を確認してみてください。
対面相談が可能な場所も多く、書類の確認や相談内容の整理を一緒に行ってくれる場合があります。
気になる事例があれば、早めに確認することが被害予防につながります。
警察・弁護士相談(悪質度が高い場合)
返金が困難な状況や、詐欺の疑いが強い場合には、警察への相談も選択肢になります。
「お金をだまし取られた可能性がある」「脅しに近い言動があった」など、不安が強いときはためらわずに相談してください。
また、契約内容の複雑さや返金請求の必要がある場合、弁護士相談を利用することで、法的な視点から状況を整理できます。
相手からの連絡がエスカレートしていると感じたら、ひとりで対処しないことが大切です。
早めに専門機関につなぐことで、適切な対応が取りやすくなります。
若者が被害に遭わないための予防策
マルチ商法やネットワークビジネスの勧誘は、日常の中に自然と入り込んできます。
そのため、事前に「気づく力」を持っておくことが被害の予防に大きく役立ちます。
ここでは、判断基準や見抜き方、家族・友人を支える方法をまとめました。
怪しいと感じたら、立ち止まることが第一歩です。
契約前チェックリスト
不安を感じたときは、次の項目に当てはまらないか確認してみてください。
- 必ず儲かる、失敗しないと言われている。
- 勧誘者が契約を急かしてくる。
- 契約前に事業者情報(所在地・連絡先)がはっきりしない。
- 内容をよく理解していないのに契約を迫られる。
- 借金やクレジットの利用を勧められる。
- 友人を紹介すると収入になると説明される。
ひとつでも該当する場合は、契約を見送る判断が安全につながります。
自分の直感が少しでも「おかしい」と感じたら、その感覚を大切にしてください。
SNS・ネット広告の見抜き方
SNSやネット広告では、華やかな言葉や成功者の写真が並び、魅力的に見えるよう工夫されています。
しかし、その中には注意が必要なものもあります。
- 誰でも簡単に稼げる。
- 短期間で高収入。
- スマホ一つで月〇万円。
- 参加者の声が極端に成功例ばかり。
- 実態のよくわからない「講師」や「成功者」が登場する。
このような表現が続く広告は、冷静に距離を置くことをおすすめします。
家族・友人が巻き込まれた場合の支援方法
身近な人がマルチ商法に関わってしまうと、心配や戸惑いを感じるのは自然なことです。
ただし、相手を責めてしまうと関係がこじれ、相談してもらえなくなることがあります。
そのうえで、一緒に相談窓口につながることが、解決への大きな助けになります。
- 相手を責めずに気持ちを受け止める。
- 事実と感情を分けて整理する。
- 消費生活センター(188)などの相談先を一緒に確認する。
- 必要に応じて自治体窓口や専門家につなぐ。
支援する側もひとりで抱えず、安心して相談できる環境を整えることが重要です。
まとめ
ここまで、若者が巻き込まれやすいマルチ勧誘の特徴や、断り方、相談先、予防策についてお伝えしてきました。
最後に、特に大切なポイントを整理して締めくくります。
- うますぎる儲け話には距離を置くこと。
- 断るスキルを身につけて、無理な誘いに巻き込まれないこと。
- 不安を感じたらひとりで抱えず、早めに相談する勇気を持つこと。
マルチ勧誘は、誰にでも起こり得る身近な問題です。
この記事が、あなた自身や身近な人を守るための指針になれば嬉しく思います。
必要なときは、いつでも相談窓口を頼ってください。

